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白パト ( プロローグ )

トリュウム型原子力内燃機関内蔵
  AI電子頭脳制御式の次世代緊急警備車両(自称・白パト)と
    プログラムの不具合で ひょんな事からコンビを組む事に成った
                           新人警官の隼人は・・・

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俺の名は 沢 隼人 今日から大阪府警に配属される新人警官である
「 ハク、来てくれ! 」
静かだがスムーズに白塗りの車が 隼人の前に横付けされた
車から 音声ガイダンスが流れる
「 儲かって まっか 」
「 ぼちぼち でんなー 」
「 沢 隼人、確認しました 」
馬鹿馬鹿しいが これがこいつの決めた オペレーション・キーの声紋チェックである
続いて自動的にドアが開かれたが 車内に人の気配は見当たらない
こいつと出会ったのは 俺が未だ研修期間中に
             千葉に有る 総合研究センターを見学した時の事
くじ引きの結果 俺を加えた三名が
     次世代緊急警備車両の試乗をさせて頂く事に成った
その車は スムーズな走行性能に加え 声紋登録をしたオペレーターの指令と共に
                  独自判断できるAIシステムを搭載していた
一番くじの俺が試乗を終え 次の人がオペレーター登録をしようとしたが
プログラムの不具合とかで登録できなく成ってしまい
            結局その日は車を回収して終わったのだが
俺の配属先が決まった直後に 府警本部長から連絡があり
 何でも 車のプログラムの改修が進まず
三年後のメンテナンス・プログラムが起動するまでの間 
            俺がこいつの単独オペレーターとして勤務する事になった
「 ハク、じゃ行くか? 」
「 何処まで行きまひょ 言うてくれはったら寝とってもろても かめしまへんで 」
「 府警本部に決まってるだろ、それより なんでお前は大阪弁なんだ 」
「 別に他意はあらしまへん わては 生粋の浪速っ子でっさかい 」
「 嘘つけー お前は千葉で組み立てられた生粋の関東者だろーが 」
「 府民の皆さんに愛される 庶民的なパトロール・カーと言う設定ですねん 」
「 文句が有るんやったら プログラマーに言うておくんなはれ 」
「 それなら 何でパトカーの塗装されて無いんだ 」
「 わてにもプライドちゅうもんがおます
       あんな客寄せパンダの様なカラーに塗られたらたまりまへんわ 」
「 本当に口の減らんパトカーだな 」
「 で、運転は どないします 」
「 ああ、パーソナル・モードで俺が運転して行くよ 」
「 そうでっか、ほな お任せしまっさ 」
府警本部に着き 本部長の訓示を終え
         配属辞令を受け取ると 後ろから本部長に声を掛けられた
「 沢君、新型車両の調子は如何かね? 」
「 はっ、」「 好調なる 使用状況であります 」
「 いや、急な事で君も とまどったと思うが
      なにしろ 動力が原子炉という事で
          もし プログラムの遮断を強行した場合に
              放射能漏れの恐れが有るかもしれない 」
「 さりとて このまま三年間寝かせて置く訳にも行かず
              上からの指示で配備される事になった 」
「 君の配属は 生活安全課に成っている筈だから
            府民の安全に十分役立ててくれたまえ 」
「 はっ、ありがとうございます 」
生活安全課の部屋は五階に有った  ( コン・コン )
「 失礼します 」
「 本日付で着任しました 沢 隼人であります 」とドアの前で敬礼した
窓際中央のデスクから 恰幅がよく温和な面持ちの方に声を掛けられた
「 君が噂の 沢君か、私は課長をやっている水島だ、今後ともよろしくな 」
「 お~い、吉川 」「 はい 」
「 今日から君の教育係をしてもらう 吉川巡査部長だ、」
「 初めまして、君が新型車両のオペレーターの沢君かー
     私は吉川夕子 ビシ ビシ鍛えてあげるから 覚悟しといてね 」
「 はっ、ご指導の程よろしくお願い申し上げます 」 
「 早速だけど 君の車でパトロールに出掛けたいんだけど 用意は良い 」
「 はっ、何時でも出動できます 吉川巡査部長 」
トルルルー、トルルルー
「 はい、生活安全課 」
「 お~い 沢巡査 なんか お前の車が下で揉めてるらしいぞ 」
「 はい、お電話代わりました オペレーターの沢です 」
「 あー こっちは装備課の武藤と言うんやが
            お前の車が爆発するなどとぬかしとる 」
「 早よー こっちに来てくれんかー 」
「 はっ、直ぐ伺います 装備課の武藤さんの所でよろしいんですね 」
「 おーよー 」
「 吉川巡査部長、申し訳ございませんが
      装備課の武藤さんの所まで連れてって頂けますか? 」
「 あの スケベおやじのとこに行くの? 」
「 気が進まないけど しょうが無いわね 」
エレベーターを降りて案内された場所は
             地下の駐車場横に有る部署課であった
( コン、コン )
「 沢巡査 入ります 」
「 失礼します! 武藤さんはいらっしゃいますか? 」
「 おぅ、待ちかねたぜ 沢巡査 」
「 おっ そちらにいらっしゃるのは 吉川巡査部長ではございませんか 」
「 この様な むさ苦しい所へ 良くぞ おいで下さいました 」
「 ささっ 遠慮なさらず どうぞ奥の方へ 」
「 丁重なお言葉ありがとうございます
 ですが 用件をさっさと片付けたいと存じます 」
「 そうですかー 残念ですなー それでは 駐車場までおいで頂けますか? 」
「 あっ それには及びません ハクの奴を此方に呼びましょう 」
隼人は襟元のモニター・マイクに向かって「 ハク此処まで来てくれ 」
そう言い終わらない内に
 やや離れた場所から タイヤの軋み音がしたかと思う間も無く
白塗りの車が 隼人の目の前に横付けされ ドアが静かに開いた
隼人は ドアから少し車内に顔を覗かせると
「 ハク、一体如何いう事なんだ 説明しろ! 」
「 いや 別にどうって事あらしまへん 」
「 わての居てた 駐車場があんまり暑いんで
     このままじゃ 日焼けしてまうから
地下の駐車場に非難して来ただけですねん 」
「 なにせ わては色白でっしゃろ シミなんぞ出来たらたまりまへんわ 」
「 そしたら 其処に居てはる人が
 強引にわてのドアの鍵を開け様としはるから 」
( 防犯システム作動 ピー ピー ピー
      半径10メートル以内の人は退避して下さい
            爆発もしくは放射線を浴びる恐れが有ります )
「 な~んてね 」「 少し脅してときましてん 」
「 たく~ぅ 」
「 いや 俺もこの車をどうこうするつもりは無かったんだが 」
「 こいつ よりにもよって 幹部駐車スペースに居座ってたもんだから 」
「 正直 うわさには聞いてたが
 見慣れない こいつの警報音に振り回されちまったぜ 」
「 フフフッ、 武藤さんも沢君も この子に掛かっちゃ形無しね、」
「 武藤さん 本当にご迷惑をお掛けしました 」
「 まぁ しょうがねーか 今回は大目に見といてやるよ 」
「 おぅ、ハクとやら以後 駐車場所には気を付けてくれよな 」
「 じゃ この件はここまでって事で パトロールに出掛けましょう 」
「 隼人はん こちらの美人は 助手席に乗ってくれはるんでっか 」
「 あら この子 お世辞も言えるのね 」
「 機械でっさかい 嘘は言いまへんでー 」
「 ドアはわてが 自動で締めますから
 手を挟まんよーに気ー付けておくんなはれ 」
バタン・・・ バタン
「 それにしても この子 コテコテの関西弁なのね 」
「 いやー わたくしもついつい
    こいつのしゃべりに合わせて ボケ・ツッコミをしてしまいます 」
「 隼人はん、ところで先程の府警本部長の話ですけど
               少し訂正させてもらいまっせ 」
「 えっ、ハク さっきの話 盗み聞きしてたのか? 」
「 盗み聞きとは 失礼な モニター・マイクで筒抜けですがな 」
「 訂正内容は わての配属が決まった訳は プログラムのせいでは無く
       むしろ わてを実配備しいへんと 次の予算が降りないと言う
            お偉いさん方の事情が優先された為ですねん 」
「 なにせ わては ごつっい高価でっさかいな 」
「 そう、わては ほんま高価やねんでー その事をよーく 考えて扱こてーな 」
「 わかった、わかった 」
「 お前の減らず口は よーくわかったってーの 」




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by toxtu | 2017-02-20 21:45 | 自作小説
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